第42回:ジャッキー主演作『1911』で描かれる"辛亥革命"の概要を大紹介!!

文:中国エトセトラ編集部

盟友・孫文に代わり、革命軍を率いた黄興。中国の西郷隆盛とも言われ、人望厚い人物を、ジャッキーが見事に体現した。

近代化に尽力した孫文。演じるのは『宗家の三姉妹』『孫文-100年先を見た男-』でも孫文に扮したヴィンストン・チャオ。

辛亥革命で清軍を指揮した袁世凱は、中華民国大総統へ就任し、実験を得ようと画策した。

中華英雄の時代は、辛亥革命による皇帝政治の終焉によりエピローグを迎えた…。

先月より公開中のジャッキー・チェン主演作『1911』。中華民国建国のきっかけとなった"辛亥革命"を、孫文ら革命軍の視点から描いた骨太な歴史ドラマですが、この時代って、日本ではそれほど詳しく知られていませんよね? そこで今回は、清王朝と革命軍、そしてそんな両陣営の間を巧みに渡り歩いた、袁世凱率いる第三勢力の動向に注目しながら、辛亥革命がいかにして行われたのかを、掻い摘んでご紹介したいと思います。

革命に至るまで

1636年の建国以来、200年以上に渡って中国を統治してきた清王朝も、次第に政治の腐敗・疲弊が目立ち始め、18世紀後半には農民層の反乱や、西洋列強の侵略行為が頻発するようになります。やがて、1840年に起こったアヘン戦争で大敗を喫したことがきっかけで、諸外国は中国への進出の勢いを急速に早めることに。それに伴い、太平天国の乱をはじめとした大規模な内乱も続発し、時の権力者・西太后は、これらの問題の解決に奔走することとなります。 ですが、不運はさらに重なり、中国は日清戦争で日本に敗れ、多額の賠償金を支払う羽目に。しかもそのための資金を、国土を担保に諸外国から借用したため、結果的に列強のさらなる領土侵略を許すことになってしまいます。さらにこの間、西洋列強の排外運動に端を発する義和団の乱が、国内の至るところで勃発! これもまた、各国に軍事介入の口実を与えるきっかけとなってしまい、ついには北京の紫禁城までが連合国軍に蹂躙される事態に陥ってしまいます。 ここに来て、ようやく近代化の必要性に気付いた清王朝は、若い世代を海外に留学させ、積極的に諸外国の文化を取り入れようとします。また軍事面でも、西洋の技術力を導入した新たな軍隊が設立され、その総指揮を任されたのが袁世凱でした。

"辛亥革命"の波及

清王朝のバックアップを受けて、西洋諸国や日本に留学した若い政治家たちは、そこで"民族の自立"と"国の近代化"を進めるには、「旧体制を打倒し、共和政体を誕生させるしかない」という結論を導き出します。つまり、皮肉にも西太后が未来を託した若者たちが、清を滅ぼすための革命に乗り出し始めたのです。 なかでも孫文は、民族・民権・民生という"三民主義"を打ち出して、多くの革命家たちの心を捉え、中国各地で蜂起を繰り返していました。一方の清軍では、袁世凱率いる部隊が反乱軍の鎮圧に当たり、両陣営は一進一退の攻防を展開することに。ちなみに袁世凱は、この際の活躍で次第に影響力を増していき、後年には、独立した第三勢力として台頭することになります。 その後も"黄花崗七十二烈士"など数多くの犠牲を出しながらも、孫文や盟友の黄興は戦いを繰り返し、ついに1911年10月、武昌での蜂起に成功します。そしてこれを皮切りに、中国全土に革命の炎が飛び火し、各地の革命勢力も台頭。その結果、全国十八省のうち十四省が清からの独立を宣言することとなりました。 しかし、清王朝も決して屈しようとはせず、両陣営の戦いはいよいよ混迷を極めます。とは言え、これ以上混乱が続くと、諸外国のさらなる武力介入を許すきっかけにもなってしまうため、革命軍は戦いの早期決着を望みます。そこで孫文は、独自の勢力を誇る袁世凱に仲介役を頼み、長い交渉の末、ついに清王朝は権力の譲渡を了承します。こうして秦の始皇帝以来、2000年に渡って続いてきた皇帝政治に幕が下ろされたのです。

革命後の各陣営

こうして清王朝は滅び、中華民国というアジア初の共和国が誕生しました。ところが、孫文は袁世凱に仲介を頼む際、「臨時政府が成立した後、大総統の座を譲る」という契約を交わしていたため、間もなく臨時大総統の座を辞任し、代わって袁世凱が政権を掌握するようになります。 しかし袁世凱は、臨時大総統に就任するや革命派勢力を圧迫し始め、再び独裁政治を行うようになります。これに対し、孫文たちは自由を取り戻すべく立ち上がりますが、政府軍の圧倒的な武力によりねじ伏せられ、海外への逃亡を余儀なくされてしまいます。 やがて袁世凱は、自身を中心とした独裁体制を築こうとするのですが、その目論見は長くは続きませんでした。彼の専横に、諸外国をはじめ国民が猛反発し、さらに政府内部や軍閥からも支持を得ることが出来なかったため、半場強制的に、政治の中枢から失脚することになってしまったのです。 こうして革命の立役者たちが次々に表舞台から姿を消していき、中華民国は軍閥と革命勢力、そして列強諸国が入り乱れる混沌の時代へと突入していくのでした。

※『1911」上映劇場はこちらを参照ください。

※なお、清王朝のその後については、
  中国歴史ドラマ「末代皇妃-紫禁城の落日-」
  映画『ラストエンペラー』でお楽しみください。


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