著名ビジネスマンも愛読する「孫子」の兵法を徹底紹介!(1/2)

文:中国エトセトラ編集部

今なお、その名が語り継がれる伝説の軍略家・孫武の生きざまを描いた歴史ドラマが登場!

若き日の孫武。彼はどのようにして“兵法”を極めていったのか?

巻物を読みながら思案中。良いアイデアが浮かんだ?

大迫力の合戦シーンも見どころ

劇中では、美女とのロマンスも描かれる

春秋時代の軍略家・孫武が編纂した兵法書「孫子」。本書は、戦術の指南書としてだけでなく、人間の行動や思考の真理を解き明かす哲学書としても有名で、現代でも孫正義やビル・ゲイツといった著名な創業者たちが、最も信頼できるビジネス・マニュアルとして活用しているという。今回は、そんな「孫子」に書き記された13篇の兵法の中から、前半に掲載されている6篇をご紹介。各兵法ごとに"戦いの要素を挙げたあと、その応用法を説く"という流れでまとめてあるので、自身のビジネスライフに置き換えながら、当コラムを楽しんでいただけると幸いである。

■始計編・・・兵とは国の大事なり

戦いにおいて考慮しなければならない五つの要素は「道」「天」「地」「将」「法」である。「道」とは王と民衆をつなぐパイプである。王の意思を民衆に伝え、民衆の意思を王に伝えるための道を太くしておけば、戦時にもあせることはない。 「天」とは天候である。戦時における気象条件が勝敗を決することはたびたびある。「地」とは地形である。戦場の地形も勝敗を決する重大な要素である。「将」とは将軍である。軍を率いる人物の優劣は勝敗に直結する。「法」とは軍法である。軍を思いのまま操るには指揮系統の整備が必要である。これら五つの要素をよく認識して兵を動かすことが、国家を繁栄させる大事であると説く。

■作戦編・・・短期に戦を終えよ

作戦とは戦いをおこすことである。戦いをおこすには、多くの兵士を動かさねばならないが、そのためには食糧がいる。甲冑や武器を揃える費用もかかる。つまり、戦争を始めるには、第一に財源を確保しなければならない。逆に言えば、長期の戦争は財政を傾ける病巣になる。拙速と言われようが、短期間で勝利をものにする方法を採るべきである。

■謀攻編・・・戦わずして勝て

国家の経済を考えるならば、戦争をしないことが一番である。かといって、隣国との争いには勝たねばならない。そのためには、戦争に突入するまでに敵情を調べ上げ、政治的に屈服させる最善策を模索することが肝心である。この編にある「彼(敵)を知り己を知らば、百戦してあやうからず」という有名な格言は調査の大切さを言い表したものである。

■軍形編・・・戦う前の勝利を図れ

勝ちいくさでは、どの兵士もが「これでもう大丈夫だろう」と判断する時が訪れる。ただ、その時に初めて勝利を確信するようでは、軍を率いる者としては遅すぎる。軍師たるものは、勝利が形として見えない時から勝利を確信できるような算段が必要である。事前の準備で勝利を確実にしたのちに戦いを始めるのが、真の軍師である。

■兵勢編・・・軍の勢いを大切に使え

軍陣を整えて敵に向かうのはセオリーである。ただ、そのことは敵方も心得ているため、たいていは兵力の優れたものが勝利をおさめることになる。それならば、少ない兵力で相手を負かすにはどうすればよいのか。その答えは軍の勢いに ある。軍陣を自在に動かし、勢いをどの方向にも放つことができたならば、たとえ小勢でも勝ちを得ることができる。

■虚実編・・・つねに主導権を握れ

虚実とは手薄な箇所と堅強な箇所である。敵方の手薄な箇所にわが方の堅強な部隊をぶつけたならば、必ず敵は崩れる。そのことを成功させるには、視察を充実させ、敵の軍勢の疎密をしっかりと把握しておかねばならない。また、敵を動かして手薄な箇所を作ることも時には必要であろう。逆に、敵にそうさせないようにわが方も用心する必要がある。


孫武が生きた激動の時代や、若き孫武が兵法を極めていく過程は、現在発売中の中華歴史ドラマ「孫子兵法」で、たっぷり堪能することが出来る。残り7篇の兵法に関しては、次回のコラムでご紹介するので、こちらもどうぞお楽しみに!