第28回:知ってるようで知らなかった、「三国志」"正史"と"演義"の違いを大紹介!!

文:中国エトセトラ編集部

歴史超大作「三国志」は10月27日(水)にリリース

のちに蜀の初代皇帝となる、仁君・劉備

商売の神様として現代でも慕われている関羽

勇猛さでは関羽にもひけを取らない張飛

諸葛孔明が繰り出す奇策の数々も見どころのひとつ

「三国志」最強の武将・呂布と貂蝉の恋の行方やいかに!?

マンガやアニメ、ゲームなど、さまざまな分野で関連作品が発表され続けている「三国志」。中華歴史ドラマ列伝シリーズでも、ついにこの歴史超大作が登場することになるのだが、本作には、史実に忠実な"正史"と、脚色を多分に加えた"演義"の2つの物語があることはご存知でしょうか? 今回は、「三国志」"正史"と"演義"の具体的な特色や違いを、何点かピックアップしてご紹介します。これらのポイントを押さえておけば、物語の世界観にすんなりと入り込めること間違いなし!

■史実かフィクションか?

中国には、前王朝の記録をまとめる伝統があり、「史記」をはじめとする"二十四史"なる書物が存在します。「三国志」は、その4番目にあたる歴史書で、歴代の正史のなかでも事実を重視した内容が評価されているものの、逆にストイックすぎて、おもしろみがないことでも知られていました。そこで、南宋の時代に注釈が作られ、今日に伝わる「三国志」の形が整えられたと言われています。
正史「三国志」は、その後1000年あまりをかけて広く流布し、講談として庶民にも親しまれるようになります。これらをまとめ、民間に流布した伝説なども加えて執筆された小説が『三国志演義』なのです。本書は、中国最初の長編小説であり、『水滸伝』、『西遊記』、『金瓶梅』とともに"四大奇書"として、中国文学史でも特別な扱いを受けている物語です。

■いつ誰が書いた?
正史「三国志」は、3世紀半ば、陳寿(ちんじゅ)によって執筆されました。陳寿は、魏のあとを継いで成立した晋王朝の官吏。「三国志」本文の倍以上の分量である注釈の部分は、5世紀に南宋の文帝が裴松之(はいしょうし)に命じて作成させたと言われています。
一方『三国志演義』の作者は、元末明の知識人・羅貫中(らかんちゅう)とされています。14世紀半ば、講談として流布していた「三国志」をまとめ、荒唐無稽な部分を削除して史実に近い内容とし、全120話の小説にまとめ上げました。その内容は"史実七部、虚構三部"と称されています。

■どこまでが史実?どこからがドラマ?
正史ではそっけなく記されている出来事も、ドラマチックな見せ場に脚色されたシーンが演義にはちらほらと出てきます。この脚色の元ネタのほとんどは、正史に裴松之がつけた注釈だと言われています。ちなみに、各キャラクターの書き分けがはっきりしていることも『三国志演義』の特色のひとつ。作者の羅貫中はキャラクターを際立たせるため、時には別人同士のエピソードを織り交ぜる手法も用いているようです。
たとえば、劉備に賄賂を要求した督郵(とくゆう)を木に吊り下げて鞭打ったのは、実際には張飛ではなくて劉備でした。また、赤壁の戦いの際、智略をもって100万本の矢を入手するエピソードは、諸葛孔明ではなく孫権の伝記に記されたエピソードをもとにしています。

■青竜偃月刀は存在した?

『三国志演義』は、正史のおよそ1000年後に書かれたため、劇中に出てくる生活様式や武将たちの武器のほとんどは、後世のものが使われています。また、中国の連環画などに描かれた英雄たちの像も、そろって唐宋代以降の甲冑をまとい、その時代の武器を手にしています。つまり、関羽の青竜偃月刀や呂布の方天画戟といった武器は、実は漢代のモノではなかったということになります。そんななかで、曹操の部下である典韋が用いた双戟だけは正史「三国志」にも記されており、漢代から使われ続けてきた武器だと伝えられています。

■オリジナル・キャラクターを探せ!
『三国志演義』には、史実には現れないオリジナル・キャラクターが何人も登場します。最も有名なのは、董卓と呂布を手玉にとる美女・貂蝉。関羽の部下・周倉も中国では人気の武将で、関帝廟に祀られた関羽像の傍らには必ず周倉の像が見受けられます。また、関羽の三男として登場する関索も、史実には登場しない人物で、民間伝承「花関索伝」の影響を受け、物語に加わったキャラクターだと言われています。これらのオリジナル武将たちによるエピソードは、物語に彩を添え、ある時は実在した武将たちのイメージさえも豊かに膨らませる効果をもたらしています。

最近では、考古学上の研究が進んだこともあって、後漢当時の鎧や武器、戦闘の様子がCGでリアルに再現された映像作品も多く出回るようになりました。脅威の映像と武将たちによる骨太なストーリーの融合は、是非、中華歴史ドラマ列伝シリーズで確かめてみてください。その際、"正史"と"演義"の違いも知った上で観れば、物語をより一層楽しむことが出来るかもしれませんね。