第18回:「歴史街道」辰本編集長が語る歴史ブーム真っ只の中国史の現状とは!?
文:中国エトセトラ編集部
1:中国史の魅力について語ってくださる「歴史街道」の辰本清隆編集長

2:「歴史街道」を携える辰本編集長

3:「歴史街道」(2009年11月号)は定価630円(税込)で絶賛発売中!

4:こちらは三国志がメインで扱われた2009年5月号。公式サイトではバックナンバーの購入も可能

5:朱元璋は、辰本編集長にとっても魅力的なキャラクターなのだとか

6:朱元璋の波乱の生涯を描いた『大明帝国 朱元璋』
一般書店のみならず、最近ではコンビニやキオスクでも気軽に手にできる歴史雑誌「歴史街道」(毎月6日発売!)。今年で創刊21周年を迎えた、歴史本のパイオニアとして知られる本誌の舵取りをされているのが辰本清隆編集長。誌面のみならず、酒造メーカーとのコラボ企画なども展開したりと、斬新なアイデアで歴史の魅力を発信し続ける編集長に、中国史の話題や、「中華歴史ドラマ列伝」について、語っていただきました。
編集部(以下:編):「歴史街道」創刊のきっかけについて教えてください。
辰本編集長(以下:辰):今でこそ、世間では"歴史ブーム"が騒がれていますが、本誌が創刊した1988年当時は、歴史は「知る人ぞ知る」というイメージの分野でした。そのころの歴史雑誌は文章中心の分厚いものが主流で、歴史が好きな人へ更に知識を提供するものでした。そこで、もっと手軽に歴史を楽しめ、ビジュアルがメインの歴史雑誌があればおもしろいのでは?と思ったのが、創刊のきっかけです。また、「歴史を知ることで現代社会にも活用できる」「ビジネスマンに役に立つ情報として歴史を伝えたい」という基本方針があり、それが"時代を見抜く座標軸"という本誌のコンセプトになっています。
編:誌面は主に日本の歴史人物が特集されていると思いますが、西洋や中国の歴史人物はどう紹介されているのでしょう?
辰:本誌は取り上げた人物を、その生涯から軍略面、政治面、さらには周囲を取り巻く人々との関係なども交えて多角的に分析し、人間像を掘り下げることを主体に編集しています。海外の人物の場合は、よほどメジャーな人物でない限り人物紹介の前に時代背景などの説明が必要になるので、どうしてもそちらにページを割かねばならなくなります。そうなると、人物を掘り下げきれず、きちんと紹介しにくいこともあります。そのため、日本の人物に比べると、やや紹介する機会は限られてしまうところがありますね。
編:ここ最近の一般、または読者の中国史への関心度に変化は感じられますか?
辰:最近は、やはり『レッドクリフ』の影響が大きかったですね。この作品が公開されたことで中国史への関心は間違いなく高まりましたし、本誌でも2回、三国志特集を組ませて頂きました。ただ現状は「三国志」一点に注目が集まり、それ以外の時代にまで関心が広がっているとは言い切れません。中国史は、日本史に比べてはるかに長く、三国志以外にも孔子や孫子、チンギス・ハンに朱元璋など、実に多様な人物がそろっています。ですので、何かしらクローズアップして紹介できるタイミングやきっかけがあると、そういった特定の人物をピックアップできるのですけどね。
編:そんな現状ではありますが、もし、編集長が独自のご判断で特集を組まれるとしたら、どの時代、どんな人物を掘り下げてみたいと思いますか?
辰:『大秦帝国』や『復讐の春秋 -臥薪嘗胆-』でも描かれている「史記」の時代はおもしろいですね。この時代をもっと徹底的にアピールしていけば「三国志」以上にヒットするコンテンツも出てくるかもしれないですよ。それと、中島敦の短編小説「山月記」の舞台でもある唐の時代もいいですね。この頃は国内だけでなく、周辺諸国との戦いも頻繁に行なわれていて、中国が大陸に存在していることを明確に実感できる時代です。著名な武将もたくさん登場しますが、中でも唐の2代皇帝・太宗(李世民)は、中国史上5本の指に入るほどの名君と言われていて、本当に魅力的な人物です。その部下である李靖も、名将と呼ばれ人物ですので、2人合わせて本誌で扱ってみたいですね。
編:そういった観点からご覧になられて、「中華歴史ドラマ列伝」はいかがでしたか?
辰:どの作品も洗練されていて、非常にクオリティが高いですね。特に『大秦帝国』がおもしろかった。美術や装飾も凝っていたし、何より役者が良い味を出していますね。全編を通して常に緊張感があって、夢中で観てしまいました。『復讐の春秋 -臥薪嘗胆-』も素晴らしい出来でしたね。歴史ドラマですから、どちらが勝つのかは最初から分かっているものの、それでも夫差や勾践がどうなっていくのか気になり、ついつい最後まで見入ってしまって(笑)。主人公を美化しすぎず、良い面も悪い面も同等に描いているからこそ、その人物像が魅力的に映るんでしょうね。『大明帝国 朱元璋』もそうでしたが、主人公をヒーローとして祭り上げず、その内面まで描くことで人間性を浮き彫りにしようとする、製作サイドの意識の高さがうかがえました。
編:中国史を扱った作品の今後の展開について、ご意見をお聞かせください。
辰:一言で中国史と言っても、日本と中国では、その捉え方にかなりの違いがあります。「三国志」の劉備と諸葛亮の関係をとっても、日本では強い絆で結ばれた主従として描かれるのが一般ですが、中国では互いに目的のために協力し合い、時には利用し合う間柄として認識されているようです。こういった日中間での見解の違いや、あまり知られていない時代のエピソードなど、中国史にはおもしろい題材がまだまだたくさん眠っているので、それらを掘り下げていけば大ヒットに繋がるコンテンツもきっと見つかると思います。また、作品を世に送り出すタイミングも重要です。最近は政治の変化が注目される一方、依然、先行きの見えにくい時代が続いています。そんな今こそ、『大秦帝国』をはじめ「中華歴史ドラマ列伝」で描かれる武将たちの生き様をアピールしていくタイミングなのかもしれません。
――辰本編集長にご指摘いただいたとおり、「中華歴史ドラマ列伝」シリーズに登場する主人公たちの姿は、混迷の真っ只中に生きる私たちにとって、まさに生き方の指針となり得ます。「歴史街道」で時代の流れを掴んでおけば、中国史が広まっていく過程を、いち早くチェックできることは間違いありません。






























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